EIZO ColorEdge
『ColorNavigator』は、カラーマネジメントモニター「ColorEdge」でハードウェアキャリブレーションを行うための専用ソフトウエアです。
測色センサーを使って、パソコンの出力信号を触らずに直接モニター表示を調整し、データそのものの階調を犠牲にすることなく、より短時間で精度の高い調整を行うことが出来ます。
キャリブレーション以外にその調整目標の設定や編集、さらに1台だけではなく複数台のColorEdgeを管理するなど正確なモニター表示に必要な機能を備えています。
『ColorNavigator7』はEIZOのサイトからダウンロード出来ます。
ご自身のColorEdgeの型番、パソコンのOSや測色センサーの種類など必要な方はご確認ください。
◎ColorNavigator7 ダウンロードページ
https://www.eizo.co.jp/support/db/products/software/search?k=colornavigator
◎ColorNavigator7 「動作条件、対応センサーリスト」
画像編集ソフト同様に、ユーザーは可能な限りソフトウエアの環境設定などの確認と各種設定を行う必要があります。
モニター表示を正しくするためにキャリブレーション作業は誰しも行いますが、基本となる設定やその意味を知らずに行っているユーザーも多いです。もちろんメーカーデフォルトの状態からキャリブレーションに関わる部分だけで使用することでも大丈夫ですが、出来ればしっかりと環境設定の確認とその設定が何を意味するのか知っておくことでさらに高精度な作業が行えます。
ここでは、環境設定の全てを説明することは出来ませんが、ユーザーが確認する事、知っておいた方が良いと思う必要な部分の設定を出来るだけ書いて見ます。カラーマネジメントを行う上で必要な機能で、他社には無い機能もたくさんあります。
ColorEdgeユーザーの方でもご存知の方もいるかも知れません。ちゃんと設定しているのか確認する上でも是非ご覧くださいませ。
まずはColorNavigatorの表示に関する使い方の部分を書いておきます。
ごくごく稀にColorEdgeを購入したのに、測色センサー側に付属しているソフトウエアでキャリブレーションを行うユーザーがいるようです。おそらく「ハードキャリブレーション」と「ソフトキャリブレーション」の違いを理解されていないのか、もしくはあまり何も気にしない方、一番は分かっておらず測定器の方を優先する物だと思っている方だと思います。
CalorEdgeを購入した方は、必ず専用ソフトの『ColorNavigator』でハードキャリブレーションを行いましょう!
*「ハードキャリブレーション」と「ソフトキャリブレーション」の違いは「4.モニターのキャリブレーションと測色センサーについて」をご覧くださいませ。
ColorNavigator7は、複数のカラーモードを常時用意し切り替えて表示することが出来ます。
カラーモードを切り替える方法は以下になります。
・ColorNavigatorを起動して切り替える
・モニター側のOSDで切り替える
・メニューバーやタスクトレイの中のColorNavigatorアイコンから切り替える
いずれの手段でカラーモード(プロファイル)を変更しても仕様は全て同じです。「カラーマネジメントモニター』と呼ばれる部分では、その名前の通り「カラーマネジメントシステム」に則った仕様でなければなりません。ここが一番重要で、モニター側で「プロファイル」を変更した場合は、パソコン側のディスプレイ管理にあたる部分の「プロファイル」も同時に切り替わらなければなりません。
*パソコン側で動いている各種画像処理ソフトはパソコン側のその『モニタープロファイル』を参照しながらカラーマネジメントを行います。モニター側だけが切り替わるのはパソコン側と連携が取れずカラーマネジメントになりません。
まずは、ColorNavigator7のアップデートに関して。
ColorNavigator7を起動します。アップデートがある場合は、右上に*「アップデートがあります。」と表示されます。
*アップデートダイアログの『◻︎起動時にアップデートを確認する』にチェックを入れている場合
右上の環境設定を開き、ダイアログの左側中央の「CaolorNavigator7について」を開いてアップデート内容を確認します。
*1 起動時にアップデートの表示がない場合は、「アップデートを確認」を押して最新のものか確認します。
*2 最新バージョンが出ている場合は、「更新履歴」でアップデートの内容を確認出来ます。
♦️アップデートのポイント ♦️
基本的には新機能や機能修正、バグフィックスなど盛り込まれますので、アップデートはした方が良いです。
しかし画像処理ソフトでも同様ですが、長年使用する中では、ごく稀にアップデートにより不具合が出る場合や、何よりも使用しているColorEdge、測色センサー、パソコンのOSバージョンなどが古い場合にサポート対象から外れる場合もあります。最新型のColorEdgeや現行のOSで作業しているユーザーは気にしなくても良いですが、少し古い型で使用しているユーザーは「更新履歴」やサイトでアップデート情報などを確認した方が良いでしょう。
作業途中などではなくタイミングが大丈夫であれば「今すぐアップデート」を押してアップデートします。
*もしも以前のバージョンに戻したい場合は、EIZOサイトの「ソフトウエア・ドライバ」のページからダウンロードします。https://www.eizo.co.jp/support/db/products/software/search?k=colornavigator
環境設定の「一般」は、「測定値補正・ColorNavigator Agent・ICCプロファイル詳細設定・その他」の項目を設定します。
基本的にはそのままでも構いませんが、「測定値補正」の項目で測色センサーに対する検証設定を変更出来ます。
この機能はEIZO ColorEdgeのみの機能で他社にはない優れた設定です。
基本的にはデフォルトの「カラーマネジメント(推奨)」でもちろん構いませんが、その違いとユーザーごとに各々の環境でどちらの設定が良いか考えましょう。
測定値補正のデフォルトは「カラーマネジメント(推奨)」となっていますが、プルダウンで『複数モニターマッチング』を選択できます。
「カラーマネジメント(推奨)」と「複数モニターマッチング」の違いについて
そもそも工業関係を含めて測定器(センサー)で計測を行う場合は、通常はより精度を重視するために『2度視野』と言う極めて狭い範囲(ピンポイント)で必要な情報を計測します。
*「カラーマネジメント(推奨)」はこの『2度視野』で精度の高い計測でキャリブレーションを行います。
モニターや何より測色センサーがまだ新しい物、もしくはそこまで古くない物であれば、精度の高いこちらの設定が良いでしょう。
また、複数モニター環境やデータを他者と共有することが少ないのであれば「カラーマネジメント(推奨)」が良いです。
視野角については、詳しくはカラーマネジメントページの「5.デジタルの色とCIEとICCについて」の『標準観測者について』のところでも触れていますが、写真関係で言えば、遠くの物の露出を測るための計測範囲ですね。狭いとピンポイントですし、広ければその範囲の平均的は露出になります。
Photoshopですと、ブラシやスポイトで色を計測する場合に、1ピクセル単位なのか、複数ピクセル平均なのかを選べますよね?
説明するまでもありませんでしたが、要は計測範囲を広げて平均値ベースでキャリブレーションすることで複数台の誤差を縮めると言うことです。
*さらに補足すると、『モニターの色や見た目』はモニター側の性能や品質、キャリブレーションの問題だけではなく、センサー側の「個体差や癖」が計測に反映されると言うことです。
例えば、A計測器でキャリブレーションすると「グレー表示がわずかにマゼンタより」で、B計測器でキャリブレーションすると「グレー表示がほんの僅かにグリーン被りに見える」などの違いになります。
つまりキャリブレーションすること自体は必ずしもモニター性能だけではなく、半分はセンサーの性能に依存します。
なので、本来であれば仕組みと性能の良い高価なセンサーの方がキャリブレーションの結果は良いですが、高価なセンサーはプロでも購入が厳しいこともあります。調整に多少の違いはありますが、一般的に広く利用されているフィルター式のセンサーでも十分に使用出来ます。EIZOの専用キャリブレーションソフトでは、一般的なフィルター式のセンサーでも十分に結果が出るように調整されています。ただし、測色センサーは取り扱い、保管状況に細心の注意を払いましょう。
「カラーマネジメント(推奨)」と「複数モニターマッチング」どちらの設定が良いのか悩んだ場合は、カラーモードリストの中の使わない項目があれば、その一つを変更して合計2つの同じ目標値のADVモードの項目を作成し、「測定値補正」をそれぞれにしたものでキャリブレーションを行い、その2つの表示結果を見比べて判断するのも良いでしょう。
「検証目標」の設定は、キャリブレーション後に行う「検証」で作成されたプロファイルの精度に関し「目標値との誤差(色差)」を数値で見せてくれる機能になります。
カラーマネジメントと言えば、業界では出力に比重が置かれます。しかし、カメラマンがデジタル画像を扱い、尚且つそのデバイスで処理をするのですから、目標との色差、モニターの精度を確認した方が安心して作業が出来ます。
なので、デフォルトは「ISO 12646 Profile Quality」になっていますが、その下の『RGB簡易』に変更します。
カメラマンや業界サイトでは「ISO 12646 Profile Quality」で検証しましょうと言われているようですが、こちらは「ソフトプルーフに使用されるモニターに必要な要件を規定した国際標準規格」で、2004年にCRTモニター対象だったものが、2008年に視野角に対する要件やLCDに関する要件も追加されました。当然D50基準で、ディスプレイの特性や視覚条件に合わせて検証結果を判断する為のものです。モニターの周辺環境基準要件もありますし、前提条件はハードコピーに対しての規格となります。必ずしもWEB用途とは違いますので、一般的なカメラマン、愛好家の方が使用しなくても良いでしょう。
昨今は印刷物よりもデバイス、WEB、SNS、アプリなどのツールでの使用が増えていますし、何よりもモニターに求めるものの基準になる色数値との比較をしっかりと確認することが重要になりますので、検証目標は『RGB簡易』で行いましょう。
*検証については、「ColorNavigator7の使い方 ADVモード」ページの『プロファイルの検証検証を行う』で詳しく書いていますので、そちらをご覧下さいませ。
キャリブレーションを行うタイミングについては、200時間とか「月に一度」などとよく言われます。こちらは『モニター設定』の中の「管理方針...」で設定します。
ここで、キャリブレーションのタイミング(経過時間)を設定します。設定時間を経過するとColorNavigatorアイコンの色が青から赤に変わり経過を教えてくれます。
CGシリーズは内蔵モニターがあるため、自動的にキャリブレーションを行う各種設定ができます。
・定期キャリブレーションは、センサー内蔵のCGシリーズのみの機能です。指定した時間を過ぎると自動的にキャリブレーションが始まります。作業中に始まると困るので、開始タイミングにチェックを入れると良いでしょう。キャリブレーションは簡易です。
・確認周期の設定は、キャリブレーションを行うためのモニターの使用時間を設定します。デフォルトでは200時間となっていますが、ユーザーの使用状況によって変わります。とくに仕事で使用時間も長く、1〜2年以上経過している場合は、もう少しこまめに2週間に一度でも良いかも知れません。
・開始タイミングは、定期キャリブレーションと同じで、内蔵センサー搭載のCGシリーズのみの機能です。パソコン終了時などモニターがパワーセーブ状態になると自動でキャリブレーションを行います。キャリブレーションは簡易です。
*CGシリーズユーザーで、自分のタイミングで任意にキャリブレーションする場合はこの機能は使用しません。定期キャリブレーションを「なし」に設定します。