EIZO ColorEdge
ColorNavigator7を起動すると、左側の「カラーモードリスト」からキャリブレーションを行いたい設定目標を選択します。
*ColorNavigatorのカラーモードの種類は、ColorEdgeの機種によって項目内容が異なります。
まずは、カラーモードリストの目標名欄の横にある「STD」と「ADV」について簡単に書くと以下の違いになります。
STD(Standard Mode) | 映像制作・WEBコンテンツ向け |
簡易版の調整を行います。短時間で素早くキャリブレーションが可能。 |
ADV(Advanced Mode) | 商業印刷など業務用途・写真印刷向け |
高精度なキャリブレーションを行います。詳細な目標設定を行えたり、手動調整も6色調整など細かな微調整が可能です。また、「検証」機能も使用出来ます。 |
*機能の違いなどは使用方法の中で説明致します。
ColorEdgeはColoNavigtor7を使うことでいつでもカラーモードを切り替えることが出来ます。そのため、使用しているカラーモード以外の項目も裏側で常に待機している状態です。
ColoNavigtor7起動時にも全ての項目をチェックしますが、時間のロスにもなりますので使わない項目があれば項目のところから右クリックで切り替えメニューが出ますので、「無効にする」を選択します。
「STD」は簡易版のため、キャリブレーションの処理スピードはとても早いですが、より精度を上げてキャリブレーションを行いたい場合は、設定も細かく編集出来る「ADV」に切り替えます。
切り替えたい項目で右クリックから「タイプの変更」「ADV」を選択して切り替えます。
♦️STDモードでキャリブレーションを行う♦️
複数台のColorEdgeをパソコンに繋いでいる場合は、メインウインドウをキャリブレーションしたいモニターに移動します。
デフォルトのカラーモード(設定項目)のままキャリブレーションを行う場合は、以下になります。
①「STD」の項目の中からキャリブレーションしたい項目を選択します。
*ColorNavigatorの特徴の一つですが、「STD」はいずれか一つの項目でキャリブレーションしたモニター補正値を『他の「STD」カラーモード』にも反映されます。注:「ADV」には反映されません。
②設定項目を選択したら『キャリブレーション...」を押してキャリブレーションを進めます。
次に測定器選択画面が表示されますので、使用する測定器を選択します。CGシリーズの場合は、デフォルトは③「内蔵センサー」になっていますので、プルダウンからパソコンに接続した「外付けセンサー」を選択します。
*センサーが正常に接続されていない場合はアラートが出ます。
測定器を決めたら右下の④「>(次へ)」を押します。指示に従って測色センサーをモニターに設置します。準備が出来たら⑤「>(次へ)」押して次に進みます。
*測定器によってはセンサー側の初期化を求められます。
*ほとんどの測定器は、錘が付いていてモニタの上部に挟むようにしてぶら下げます。測定器がしっかりとモニター画面に設置出来るようにモニターを少し上向きに起こします。
画面と測定器の設置面に強い光が入らないようにモニターフードはあった方が良いですが、フードがなくて、上部に室内光など気になる場合は、消しておくと良いでしょう。
測定器が設置出来たら、⑥「>(次へ)」でキャリブレーションを進めます。計測が終われば完了です。
キャリブレーション終了後に、作成したプロファイルを確認したい場合はメインウインドウ右側中央辺りの「詳細表示...」を押します。
「調整結果」と「履歴」、履歴から「詳細」を確認することが出来ます。
♦️STDモードで手動調整する♦️
次に、これは一般的には行う必要がありませんが、作品作りなどプリントと比較してキャリブレーションしたモニターが「プリント用紙」の色味と合わない場合などは、手動で微調整を行います。
メインウインドウ下部の中央にある「高度な機能」の中の『手動調整...』をクリックすると手動調整画面が開きます。行える調整項目は、「輝度」と「白色点」の2つになります。
Photoshopなどで画像と見比べながら微調整しても良いですし、手動調整画面の右下の『パターン表示』を使うことで出力ペーパーとの比較も兼ねながら画面の明るさを確認出来ます。
*この手動調整は、あくまでプロファイルを基準に「モニターの表示」をユーザーの好みに変更するものです。なので過剰な変更は行わず『微調整』に留めるようにしましょう。
手動調整が完了したら再びキャリブレーションを行い、プロファイルを更新します。
♦️STDモードの設定を編集する♦️
「ColorNavigator7」のカラーモードにはデフォルトでいくつかのモード(プリセット)が用意されています。
ユーザーは難しい設定など考えたり、気にしなくても良いようにとあらかじめ用意されています。一般的に使用用途として基本になる画像やWEBの色域や映像業界などの色域ベースのものが中心です。
なので、例えば印刷用途やデバイス向けだったり、個人でプリントするなどの場合には「そのままでは当てはまらないもの」になります。
例えば「sRGB」のデフォルトプリセットは「100cd、D65」ですが、明るさを変えたい場合などの時は『編集』から変更を行います。
編集を押して輝度を変更したら、画面最下部にあるOKを押して終了します。編集が終了したらその設定で必ずキャリブレーションを行います。
STDで「編集」出来る項目は以下になります。
◎輝度:一般的にはモニター使用としては従来の印刷やプリント、WEB向けとして「80〜120cd」を目標にしていすれば良いです。
印刷向けとしては、昔は業界基準として「80cd」でと言われていましたが、最近は「100cd」を基準にしているところもあります。
昨今のiPadなどデバイス向けであれば「100〜150cd」までで十分かと思います。
明るさに関しては絶対にこの数値と言うのはありません。 iPhoneやiPad、パソコンの画面もユーザーごとに明るさが違います。仕事であれば一定の基準に沿った方が良いのですが、業界、モニターメーカー含めてそこまで統一出来ていないのも現状です。
ただ、80cd、100cdでも画像の露出としては違いが出ます。ユーザーごとの判断にはなりますが、流通させるデータの場合は明るすぎる環境で画像処理をしない方が良いと思います。
◎白色点:プリセットでは、「D65、D50、DCI」が選べますが、写真の場合は、WEBやデバイス向けであれば「D65」、印刷向けであれば「D50」を選択します。
それ以外は「色温度」から手動で任意で設定します。
プリントであれば「5500K」くらいでも良いですし、iPhoneやiPad向けであれば「6800K〜7000K」くらいを目標値に設定します。
これらも基準と考えるだけですので、必ずしもぴったりと合う数値ではありません。
◎ガンマ:デフォルトの「カラーモード」の場合は、「規格値」のままで良いです。WEB、印刷などsRGB、AdobeRGBなどは標準入力の手動調整でも基本的には「2.2」のままで良いです。
◎色域:色域は、そのモニターに再現(表示)させる色の範囲を指定する項目です。プリセット(名)の色域が「規格値」になっている場合はそのままで良いです。ただし、とくにsRGBの範囲で処理をする場合は、モニターに再現させる色域は『sRGB』に指定します。
『Native』はそのモニター自体の発色性能(限界)の色域のことです。
例えば、AdobeRGB対応モニターで、印刷やプリントなど出力目的でAdobeRGBの画像を処理する場合は、モニターの色域の方が再現幅が広い部分が多いので、無理に色をカットしない方が良いです。
*色域クリッピング:*ColorEdgeの特徴の一つでもある機能です。
例:上図は青色がモニターの色再現域、赤色が目標の色域、緑の点線が調整後の色再現域
*オンの場合:
モニターが表示できる範囲の色は、規格(目標に設定した色域)に合わせて正確に表示されます。表示できない範囲の色は飽和します。(レンダリングインテントの「相対的な色域を保持」のような感じ)
*オフの場合:
色の正確性よりも、階調性を重視して表示します。規格(目標に設定した色域)で定義された色域の頂点を、モニターが表示できる範囲に移動します。これにより、モニターが表示できる最も近い色で表示します。(レンダリングインテントの知覚のような感じです。近似色への圧縮という意味では似たような感じです。)
デフォルトはオフになっています。理由は簡単で、現在のColorEdgeはAdobeRGBの色域を超えていますので、AdobeRGBやsRGBへの対応であれば、オフのままで大丈夫です。
注意:DisPlayP3は通常のモニターよりも赤から緑の一部の色再現域が広いです。
上図は、「CG2700S」と「DisplayP3カラースペース」の比較ですが、赤から緑の一部にかけてはモニターよりも彩度が広いエリアがありますが、飛び出しているのは僅かです。その部分はもとより再現できない部分ですので、色域クリッピングはオフの方が色再現が良いです。
また、HDRで使用される「BT.2020」などは一回り大きい色空間です。これらの『モニターよりも広い色再現域』の色空間に対して、『色域クリッピング』で表示の色をどうするのか選択します。
現状はBT.2020はもとより、画像処理で扱うこともある「ProPhotoRGB」などはモニターの再現域より広いので、通常はその広い色(彩度)はモニターでは再現出来ません。
◎ICCプロファイルポリシー:基本的にはデフォルトのままで良いですが、目的があればバージョンの変更やLUTを使用します。写真画像の場合はそのままで良いです。