カラーマネジメントとは

4.モニターのキャリブレーションと測色センサーについて

🔴モニターについて

『写真』として画像処理を行うための最適なモニターとは何でしょう?

バックライトや表示色、輝度、コントラスト比、応答速度などスッペック的な部分は置いておいて、よく質問されるシンプルな疑問をベースに書いてみます。

カラーマネジメントのページで何度も触れていますが、デジタルの色には基準があります。極論ですがモニターに求めるのは「基準値通りの色再現」です。フィルム時代のメーカーカラーの主張や、テレビのように「黒の締まりが..」とか、「赤の再現が..」などのメーカー主張の売りがありますが、画像処理をする上では極端な主張は困ります。素直に基準値通りの色を表示してもらわないと正確な画像処理が出来ません。

なので、本来はメーカー毎に色が変わるのはやはりおかしいのですが、そこはなかなか難しいですよね。

♦️画像処理(写真)に最適なモニター♦️

 モニターは「モニター単体」と、「PC一体型やノートPC」の2タイプがあります。

価格もそれぞれ安価なものから高価なものまでありますが、やはり品質や部材、性能で考えれば単体の方が良いでしょう。

次に、一般的なモニター(ソフトキャリブレーションタイプ)と、写真・映像用とも言われるカラーマネジメント(ハードキャリブレーションタイプ)モニターの2種類があります。

*「PC一体型やノートPC」は一般的なモニター(ソフトキャリブレーションタイプ)になります。

どちらが正確で優れているのかと言うと、その仕組み上で考えた場合やはり業務用として作られた「カラーマネジメント(ハードキャリブレーションタイプ)モニター」になります。

とは言え、高価ではありますしプロでなければ予算と相談しながら決めると良いでしょう。

昨今はHDRディスプレイなど、広色域と高輝度・高コントラストのモニターも増えています。これらはそのままでは印刷やプリントを前提にした『写真』データを扱うのは不向きではあります。

*業務用のカラーマネジメントモニターであれば、HDRタイプであってもキャリブレーションと設定変更で切り替えれば使えるようになります。

プロの方でも画像のセレクトだけでなく、最終的な仕上げまでノートタイプのみで調整する方がいるようですが、こちらも厳密には良いとは言えません。基本的には仕上げは業務用のハードキャリブレーションモニターを使用する事が望ましいです。

パネルはIPSで、出来ればアンチグレアが良いです。作業や現場によっては複数人で一つのモニターを確認する場合があります。斜めから見ても色差の少ないパネルが良いでしょう。また、画面に映り込みが強いと作業の邪魔になります。当然ながらモニターの隅々まで均一に表示する「ユニフォーミティ補正」機能が優れているモニターが良いです。

以下は、シンプルな内容ですが、購入を検討している方によく質問される内容について書いておきます。

*基本的には全てユーザーの環境、使用状況によります。

モニターのサイズは24インチ、27インチ、32インチが主流ではありますが、どのサイズが良いかはメーカーにもよりますし、ユーザーの使い方と環境次第です。

単体モニターの場合は、「設置する環境」や「大きな画面で作業したい」などで考えるようですが、24インチで仕事するプロも多いです。また、2台並べてデュアルモニターで使用する方もいます。

ノートPCの画面サイズは持ち運びの事や重量、さらに仕事や作業効率のことを考えて選びます。ノートPCのディスプレイもソフトキャリブレーションになりますし、広すぎる色域や何より高輝度は「出力」を前提にした画像処理にはあまり向いていません。

僕の場合はロケ先でもクライアントの確認などがあるため、出来るだけ大きめのノートPCを使用します。仕事によってはさらに外付けのモニターを持っていきます。

4Kモニターは必要か?

昨今は5K~のものも増えてきていますが、写真のみを扱うのであれば従来の2K~3Kでも十分だと思います。

4Kはデザイナーや動画(映像)を扱う人には必要なサイズだと思いますが、画像処理をするときは結局のところ表示が細かすぎると言うこともあり、実際にはiMacユーザーなど含めて、モニター調整で解像度を変更して使う方も多く見受けられます。

HDRモニターは必要か?

現時点では写真を「印刷やWEB」で使用するために調整作業を行うモニターと言う事であれば、必ずしもHDRモニターは必要ありません。

動画(映像)を扱う方で、最終目的がHDR動画(表示)のための仕事であれば当然必要になります。またゲーム業界でも必要とされることも多いです。

HDRディスプレイに関しては、まだ業界全体が規格含めて乱立していますので、もう少し様子を見た方が良い気がします。

♦️モニターのキャリブレーション♦️

一般的なモニターは買ったままの状態では正確な表示をしていません。単純に言えば「青い画面」です。

テレビの規格はもっと青いですよね。そもそも規格がどうと言うより、機器ですので発光部の部材的に言えば商品ごとに青味も異なります。

「キャリブレーション」と言うのは、大雑把に言えばモニター表示のRGBの出力を整えて色の基準値と近い色を正確に表示出来るようにすると言う事です。

モニターは買ったままですと「青い」ので、極論で言うと青の出力を下げながら全体のバランスを整えます。

さらに長く使用していると経年劣化(経時変化)を起こし、赤みがかってきますし、画面周囲の表示も悪くなります。なので、定期的にキャリブレーションを行い出力調整をして画面全体のバランスを取り直します。

一般的な単体モニターやノートPCなどの場合、通常は測色器のメーカー専用のキャリブレーションツールを使います。

一般的には、Calibrite社のセンサーか、datacolor社のスパイダーシリーズ。

どちらもフィルター式のセンサーで、メーカー専用のソフトを使用して、「ソフトキャリブレーション」でモニターを調整します。*スパイダーセンサーは機械的な仕組みを刷新していますが、結局はフィルター式です。

さらに高精度なキャリブレーションを行いたい場合は、x-rite社のi1 Proセンサーか、Calibrite社のColorChecker Displayセンサーの「光学式」のセンサーを使用します。

より正確に画像を表示させて処理を行いたい場合は、カラーマネジメントモニターと呼ばれる専用の「ハードキャリブレーションモニター」の方が仕組みとしては正解になります。

ただし、高価なので無理にお勧め出来るものではありませんが、安価なモニターやPC一体型(ノートタイプ含む)でもキャリブレーションすれば『結果は同じ』と思われているのであれば、それは違います。

一般的なエンドユーザーまで正確さを求めることは難しいとは思いますが、「ソフトキャリブレーション」と「ハードキャリブレーション」の違いは理解しておいた方が良いと思います。

「ソフトキャリブレーション」と「ハードキャリブレーション」は根本的な仕組みが大きく違います。

🔴ハードキャリブレーションとソフトキャリブレーションの違い

ソフトキャリブレーション

PCに外付けで使用する単体モニターやiMacなどのPC一体型のディスプレイ、ノートPCタイプのディスプレイなどが「ソフトキャリブレーションタイプ」になります。

これらは、PC側のグラフィックボードの出力を調整することで目標値に指定した色表示を行います。

通常、モニターはRGBそれぞれの出力が255で白色点はデフォルト値(6500k〜7000kくらい)で設定されています。これを印刷基準の5000Kに下げようとするとRを基準にGとBを下げる必要がある為、元の階調よりもGBの出力は悪くなります。

さらにガンマや輝度を調整する際にも階調が減少して、キャリブレーションした後の画像は色つきや階調飛びなど正確な表示が出来ない場合があります。

上図のようにRGBの出力を整えるために、基本的にはRを中心にG、Bを下げます。調整結果をプロファイルとしPC側で制御します。デバイスの部材などにもよりますが、基本的に「青い」画面を黄白色にするためBの出力が大きく下がり、デバイスによってはBGの色の諧調が正しく表示されません。

現在はbit数やパネル、設計を含めて昔ほど極端に表示が劣化することはありません。しかし、その仕組み上モニター単体で色調整を行うのではなく、測色器(センサー)とソフトウエアで目標値に近づける設定でキャリブレーションを行い、グラフィックボードで制御する仕様に変わりはありません。その結果、出力にはバラつきがある「プロファイル」で表示を行います。

表示するための「プロファイル」はPC側「モニター環境設定」で管理されます。

ハードキャリブレーション

「カラーマネジメントモニター」と言われるモニターで、EIZOでは「ColorEdgeシリーズ」がそれにあたります。

一般的なモニターと違い、PC側のグラフィックボードなどを使用せず、モニター内部で「白色・階調・輝度」などの出力調整を行いモニターの色表示を調整する事が出来ます。

RGBが各色255の時に色温度を下げた場合でも、モニター内部の階調を減少する事なくRGBのバランスを調整し、階調飛びや色つきなどがほとんど無い綺麗な表示をする事が出来ます。

プロファイルは、「管理とキャリブレーション」を行う専用ソフト「ColorNavigator7」で管理が行われ、PC側とColorEdge(OSD含む)側の全ての連携を正確に取ってくれます。

🔴キャリブレーションの目標設定値について

あくまで基準ですが、とくに印刷は業界基準がありますのでルールに則って運用します。

目的 モニター色再現域(指定) 白色点 明るさ
WEB(sRGB)、プリント sRGB 6500K 120cd(100~120cd)

 iPhone、Android、iPadなど向け
(WEB、写真アプリ、ブラウザ)

 Display P3、*WINの場合はDCI-P3 7000k(6800~7200k) 120~150cd
印刷基準 モニタネイティブ(*AdobeRGB) 5000K 80~100cd

プリント

モニタネイティブ(*AdobeRGB) 5500K もしくは 紙白 80~120cd

*カラーマッチングになりますが、キャリブレーションソフトによっては紙白(見た目)に合わせてプロファイルを作成出来ます。

注意:MacBookProなどでは、5000Kではかなり「黄色み」が強くなる(感じる)場合があります。その場合は、5500Kでバランスを見るしかないかも知れません。

*稀に室内環境光の色温度に白色点を合わせると言う話を見聞きしますが、これは個人的な話としておきましょう。あまり推奨出来ません。カラーマネジメントからは外れてしまい、あくまで個人的なカラーマッチングになりますし、その数値は用紙ともデータ基準とも合いません。

🔴モニターのキャリブレーションについて考える。

モニターはデジタル画像を見たり調整したりするのに一番重要なデバイスです。

どんなに綺麗で素敵な画像があっても、色を正しく表示してくれなければ画像処理でしっかりとした補正・調整が出来ませんし、意味がありません。

さらにデバイス(物体)として機械的・物理的にデフォルトのままでは正確な表示をしていませんし、使用していると経年劣・化経時変化により表示の色が正確ではなくなります。

その為にはモニターをキャリブレーションする必要があるのですが、あらためて根本的な部分を再認識してみましょう。

まず、モニターに求めることは何でしょう?

価格や機能性、キャリブレーションはハードかソフトか...など、いろいろあると思いますが、一番は『基準値通り』の色再現表示をしているかどうかです。

上の画像はColorEghe CGシリーズのキャリブレーション後の検証結果ですが、目標値はキャリブレーション時にモニターに設定する(求める)『モニターネイティブの色情報値』、そして隣の測定値は『調整後のモニターが表示しているプロファイルの色情報数値』です。

そしてその差を「ΔE」で表示します。理想だけで言えば「0.00」と色差などは無い方が当然良いです。しかしながら現実的にはそんなことはありえません。

デジタルですので色情報数値は基準値として決定的なものです。しかし、モニターはデバイスですので物理的な要因からは逃れられません。バックライトもフィルターもパネルも物体です。さらに経年劣化も経時変化も起こります。たとえ新品でも物質であることからデジタル情報数値と同じにはなりません。

繰り返しますが、モニターに求める最大のものは、『デジタル情報値にどれだけ正確に近い色表示をしてくれるか?』と言うことです。

勘違いされやすいのは、キャリブレーションすれば色表示は正しくなると思い込んでいること。ハードキャリブレーションとソフトキャリブレーションの違いを理解していない方が多いように感じられますが、正しく理解していれば安価なモニターやモニター付きの一体型のPCやノートPCでもソフトキャリブレーションさえすれば正しくなるなどとは絶対に思いません。

🔴キャラクタライゼーションとキャリブレーションの違いについて

キャラクタライゼーション

同じメーカーによって作られた同じデバイスの平均を算出することです。

キャラクタライゼーションによって装置の色特性の近似が得られます。キャラクタライゼーションによって作成されたプロファイルはメーカーから入手出来る場合があります。

キャリブレーション

特定のデバイスを測定して、あらかじめ決めた標準からどれくらい外れているのかを調べて補正すること。

この場合の標準は、キャラクタライゼーションによって得られた数台の装置の平均か、普遍的な標準のどちらかになります。その後、装置が生成したRGB値、または装置に送られるRGB値は、測定された標準からのずれを補正するためにプロファイルを作成して活用します。

モニター表示やキャリブレーションでよく勘違いされているポイントは次のものが多いです。

・キャリブレーションすれば色が正しいと思い込んでいること

・ハードキャリとソフトキャリの仕組みの違い

・出荷時校正を正しい色と勘違い

・DCI-P3やDisplay P3がデバイスの「表示」だと思いんでいること

・測色器の違い(メーカーやソフトの仕組みと、モニターとの絡みの要因)

・写真と動画では表示目標が違う。何でも一緒くたには出来ない。

などなど、、どれだけ違いを正しく理解されてますでしょうか?

違いをしっかりと認識し、正しくキャリブレーションを行いより精度の高い画像処理が出来るようにしましょう。

♦️キャリブレーションに必要な測色器(センサー)について考える♦️

デジタルデータを見るためには「モニター」が必要です。色を正確に見るために、より高価で高性能なカラーマネジメントモニターが必要になってくるのは当然です。しかし意外に気づかれていない、もしくは気にされていないのが『測色器(センサー)』の仕組みと仕様・性能です。

現在キャリブレーションセンサーとして販売されているのは、Calibrite、X-rite、datacolorの3社です。

価格帯に幅はありますが、何より仕組みと性能に大きく差があります。*記載価格は量販店やネット最安値などおおよそで正確ではありません

価格・仕様 \ メーカー X-rite Calibrite datacolor
簡易キャリブレーション   Display SL *32,000~
Calibrite Display 123 *25,850~
Spyder X pro *25,000~

コンシューマー〜プロ向け

*フィルター式

 

Display Pro HL *53,000~

Display Plus HL *60,000~

Spyder X2 ELITE *43,000~

Spyder X2 Ultra *47,000~

プロ向け・業務用

*分光式

i1 Basic Pro 3 *276,000~

i1 Basic Pro 3 Plus

ColorChecker Studio

*107,000~

 

モニター 〜

プリントプロファイル

まで対応

i1 Publish Pro 3 *423,000~

i1 Publish Pro 3 Plus

ColorChecker Studio

*107,000~

プリントのみ

Spyder Print *60,500~

Spyder X2 PrintStudio

(X2とPrintのセット)*85,000~

*簡易センサーの「Display SL」などは、EIZO ColorEdgeのハードキャリブレーション用ソフトウエアでは使用出来ません。

*どのセンサーが対応しているのかは、メーカーサイトで確認しましょう。

値段とメーカーの力の入れ具合(宣伝力)や購買層、動画含めてネットの話題などもあるのでしょうが、業界では「フィルター式」のセンサーの話題が多いです。しかしキャリブレーションを行う「測色器(センサー)」にはそもそも大きく2種類の仕組みの違いがあります。また、その違いは性能面でも大きな差があります。

もちろん、何よりも価格のことがありますので、高価なものが絶対に必要と言うわけではありません。

もう一つ業界であまり話題に上がらないのが、「キャリブレーションの結果はセンサーに依存する」と言うことです。

先にも書きましたが、モニター表示のためのキャリブレーションですので、当たり前ですが前提は「モニターありき」です。そのモニターの仕組みや価格の違いはネットでも話題にはなりますが、センサーの違いの話題はほぼ見かけません。

キャリブレーションはモニター性能だけではなく、「センサーの性能に依存」します。

これは大袈裟ではなく、例えば新品のColorEdgeがあるとして、

・フィルター色のセンサーが古くて劣化していた場合 → 計測後の表示は赤みがあったりと明らかにダメな表示になります。

・目標値の設定を決めて、各種センサー(フィルター色、分光式)、さらに価格の違ういくつかのセンサーで計測した場合。どれも結果は綺麗に見えますが、画面(センサーごとのプロファイル)を切り替えて見比べると、グレーの表示がわずかにグリーン傾向だったり、マゼンタ傾向だったりします。

必ずしもフィルター色がダメということではありませんが、経年劣化の問題や仕組みの問題、性能の差があることだけは認識してもらいたいと思います。

以下に簡単ではありますがそれぞれの違いを書いて見ます。

より幅広い層に購入されているフィルター式センサーとは

一般的には、「Calibrite社の「Display Pro HL(旧x-rite i1 Display Pro)シリーズ」やdatacolor社の「Spyder Xシリーズ」が話題にあがります。コンシューマーから若手含めたプロの多くが利用しているセンサーです。

これらのセンサーはいわゆる『フィルター色(色彩計)』の測色器で、RGBの複数のカラーフィルターで光を測定・演算して結果を出すものです。

正式には刺激値直読型(三刺激色彩計、光電色彩計)と言い、この色彩計は三刺激を測定する機器です。レッド、グリーン、ブルーのフィルターを使用することによって、光や色に対する人間の目に対する目の反応に応じた値を得ることができます。

(人間の目に対応する分光感度とほぼ同位置の感度を持つ3つのセンサーで試料を測定し、直接「三刺激値」と呼ばれるX,Y,Zの3つの値を測定する方法を言います。)

いくつかのアプリケーションによっては最も安価に品質管理が行えるツールになります。

色彩計はメタメリズムによるカラーシフトを予測することができないため補正することはできません。

近年のものはガラスなどでフィルターの保護も兼ね備え劣化を防ぐようになりましたが、精密機器ですので防湿庫など湿度のない環境での保管が必要になります。

*最近はフィルターからCCDに変更し仕組みから刷新してより高速な演算処理を行う物もあります。

プロが使用する分光式(分光スペクトル式)センサーとは

昔から大手の広告スタジオや写真家などは性能面で大きく違うX-riteの『i1 Proシリーズ』や「ColorChecker Studio(旧x-rite ColorMunki Photo)」を使用します。

こちらは『分光式(分光スペクトル式)』で、分光測色計(分光光度計)とも言われます。

原理としては、スペクトルの透過率・反射率や相対放射率を測定するための測定器になります。スペクトルの各カラーは、異なる波長のエネルギーを発しています。これらの波長はナノメートル単位で測定可能です(10億分の1メートル)。分光光度計はスペクトル(赤、オレンジ、黄、緑、青、紫)の各波長を読むことによってカラーを測定します。この方法は、RGBしか読み取らない比色計と比べ、よりたくさんのカラーを読み取ることができるので、基本的にそれらの測定器より正確です。分光測色計はカラーシフトの補正に対応しているため、制度を重視し、繰り返し測色を行う場合には、適切な選択肢となります。

価格が高価なので、プロと言っても使用している割合が少ないのも現実です。

「カラーマネジメント」が昔より話題に上がる事が増え、昨今はカメラマン以外でもデザイナーはもとよりアニメ、イラスト系の方々もキャリブレーションを意識する人が増えました。ネット上では価格帯のこともあり、「フィルター式のセンサー」のみが話題に上がっていますが、高価なプロ用のカラーマネジメントモニターで画像を見たり、作品用のプリントプロファイルを作成して見たい方は『分光式』のセンサーの方が良いです。

こちらも方式はともかく、保管は防湿庫などが望ましいです。

*フィルター色、分光式それぞれの違いはありますが、EIZO ColorEdgeのソフトウエアにはそれら差を吸収する仕組みがあります。興味のある方は、EIZO ColorEdgeのページに書きましたのでご覧くださいませ。

♦️デバイスの表示について考える♦️

通常、単体モニターのほとんどが、表示される色域は固定です。sRGBモニターであればほぼ「sRGBの色域をカバー」したモニターですし、AdobeRGB対応モニターであればほぼ「AdobeRGBの色域をカバー」します。現在のMacBookProであればP3をカバーと謳っていますので、ほぼ「Display P3をカバー」した色域で表示されます。

しかし、そのほとんどが表示させる色域が固定なので、例えばAdobeRGBモニターを色域を狭めてsRGBの色空間で表示させるなどキャリブレーションしても本体の色再現域を変えることが出来ません。

*最新のMacBookProとCalinriteのソフトを使用すると表示色空間を変更することが出来ます。

iPhoneやAndroid、iPadなどのデバイスの多くは表示される色域は固定です。『Display P3カラースペース』をカバーしていると謳っていますので、ほぼDisplay P3をカバーした色域で表示されます。

これらのデバイスは『キャリブレーション』自体が非対応なので、経年劣化を含めて表示色を再調整して整えることが出来ません。明るさによって色温度も変わります。

スマホなどこれらのデバイス(と専用アプリ)でRAW現像や写真補正を行う際は、場合によっては本来データが持つ色を正確に表示出来ていない為、あくまで見た目で「処理する」だけです。なので当然ながら書き出された画像が意図しない色になる場合もあります。またHDRタイプであれば印刷とは違いも大きいでしょうし、もちろん通常のモニターと比較しても見た目の違いはかなりあるかも知れません。