写真やイラストなどの業界で『カラーマネジメント』と言うと、自分が見ている「モニター(デバイスのディスプレイ)」で表示される画像と「印刷、プリント」されたものとが同じような色味で見えると言うことですよね?
しかし、それらは何故かそのままでは大概は同じ色に見えません。その為には「何をどれだけ知っておく必要があって、設備含めてどこまでやらなきゃいけないのか?」がよく分からないと言うことが多いようです。
さらに近年は「iPad」の性能・利便性も良くなり、デザイン・イラスト・アニメ関係などプロ以外のユーザーも圧倒的に増えましたよね。それに伴い、写真以外の業界でもアマチュアの方を含めて「カラーマネジメント」と言う会話も増えてきました。
SNSを中心に「色が合わない」「モニターと色が違う」「出力された色が悪い」などとよく話題になっていますが、それ以外にも「カラーマネジメント」と言う言葉が、いろいろなシチュエーションで使われるようになっています。
確かに「カラーマネジメント=色管理」なのでしょうが、写真関係では本来は「カラーマネジメント=CMS(カラーマネジメントシステム)」を指します。当然ながら色の管理ですが、話題になるソフトウエアのカラー設定やモニターキャリブレーションのことだけではありません。もちろんモニター(画像データ)とプリントを比較する「カラーマッチング」もその中に含まれます。
プロを対象に少しでも理解の助けになればとセミナーでお話ししたりしていますが、ごく一部で要望も多かったのでこのサイトでも書いておくことにしました。
まず、SNSや動画でよく見かけるカラーマネジメントの説明とされる内容で、とくに多いのが以下になります。
◎カラーマネジメントとは、モニターをキャリブレーションすること!
◎表示や書き出しの色がおかしいのは、ソフトウエア(アプリ)のカラー設定を見直すこと!
どちらも間違ってはいませんが、それらは「カラーマネジメント」全体の中の一部で、「ユーザー側でするべきこと」の一部です。
大事なのは、カラーマネジメントは『仕組み』であって、その全体の理解と運用を正しく行えるかどうかです。
まぁそこが難しくて敬遠されているところですよね?
大枠で言えば「カラーマネジメント」とは、基準となるデジタルの色情報数値をベースに『ICCで定義された色』を「PC-PC間」「PC-デバイス・出力間」などで、互いに認識し合わせこむ仕組みのことです。
デバイスは何よりも物理的な要因で各社それぞれで独特の色再現をしています。「カラーマネジメント」とは、その各種デバイスごとに色情報を持った特性ファイル(ICCプロファイル)を使用して基準となる色に合わせこむ作業になります。その為の各種ソフトウエア側の設定も重要になります。ソフトウエアの仕様、デバイス側の精度を含めて全体の仕組みが正しくないと正確な色情報の連携もとれません。
しかし現実はそうそう上手く行きません。ぱっと見だけでも明らかに色が違い、その度に疑問やトラブルが出て困っていると言うSNSの書き込みをよく見かけます。
出来るだけ簡単で「キャリブレーションだけやれば良い」「アプリのこの部分を確認すればいい」と言う話題はすぐに盛り上がりますが、当然ながらそれだけでは解決しないことも多かったりします。
さらに、良かれと思いカラーマネジメントの説明をするサイトやyoutubeもありますが、残念ながらその多くが偏った情報に終始していて必ずしも解決には至りません。場合によっては間違った情報が蔓延しています。
昨今は「とにかく楽に、簡単にコスパ良く」とも言われます。長文読むのも大変ですし、短く端的な説明や動画での説明を好まれるようです。もちろん便利で正確な内容の動画も山のようにあります。しかし、この業界の「カラーマネジメントの悩みや疑問」を正確に解消するには実際には覚えなきゃいけない知識やキーワード、それらを踏まえた仕組みが沢山あります。
前提として『カラーマネジメント』は簡単ではない!からスタートしてもらうしかありません。
それと、どんなにお金をかけても、必要な手順を踏んだとしても100%合致することはあり得ません。これも矛盾しているかも知れませんが、事実としてあると言う認識を持っておきましょう。
では、努力しなくても良いのかと言うと、決してそんなことはなく、しっかりとした設備と手順を踏めば互いの色はかなり近くはなります。とくに仕事の場合ではトラブルも少なくなります。
とは言っても難しいことはよく分からない。長い文章は読みたくないと言う方もいるとは思います。
短く簡単に読める量で書いてはいませんが、次のページではまずは「最低限のやるべきこと」と「認識しておくこと」をベースに書いてみますので、どれだけ知っておかなきゃいけないのか。迷っている方はご確認下さいませ。
ただ、僕の書き方が悪くて伝わらない部分も多いかも知れませんし、端的ではありません。それでも興味のある方は是非どうぞ。
また、さらにカラーマネジメントの仕組みなどを情報として見てみたい方、しっかり確認してみたい方は、それ以外のページもご覧になって見て下さい。
参考・引用(一部):Desktop Color Handbook